THEME

獣に襲われて死ぬ時のことを考える 猛烈な痛みを想像して 快感で鳥肌がたつ 太く野性的な牙が 受け入れられているかのように 肉に埋れていく 柔らかく 私の繊維が千切られて ぶつりと音がする そうしてわたしは 森に帰る

夜の甘い香りに
気だるい甘い香りに
わたしの魂は引っ張られ
いつの魔にか
無い隙間へと紛れ込んでしまった

忘れものは
わたしの肉体
ここへは持って来れない肉体
あの時知らぬ間に引き剥がされ
ずるりと
その場でぺしゃんこになった

夜の甘い香り
生ぬるい風が頬を舐める
わたしは隙間に溶け込んで
そんな事に気が付きもせず
目をつむりながら自転車を漕ぐ

まだ見ぬ故郷を想う
虫たちの呼吸を感じ
甘い草木の香りを肺一杯に満たす
指先に触れるその湿った土
愛しい黴に覆われたわたしの肺
悲しみが灰に埋まる前に
たましいは私の檻からぬけだして
あるべき場所へと帰る

過去を消し、詩集を買いにゆく
死んだように横たわり、
泥のように眠る
熟さぬ実を潰して獲たその甘み
果たしてそれが本当の幸せか
碧い血が流れ
悲しみさえ残せない
蕾に宿る 憎しみも
誰にも知られず朽ちてゆく